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( ^ω^)個人的まとめのようです

自分のブーン系まとめ
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( ^ω^)思いの向こう側のようです 6

****

3日前のことだ。



「おっきいあにじゃ、ちっちゃいあにじゃ!」

小さな女の子が、嬉しそうに駆けてくる。

「どうした妹者?」

「何を持ってるんだ?」

似た顔の2人が少女に問うた。
にこにこと楽しそうな少女は、その2人にそっと、自分の小さな手を差し出す。
両手の合わせをそっと開くと。
中には6つの、青い石。
きらきら光り、発光する、美しい宝石。

「かわらで遊んでたらみつけたのじゃ!」

得意げに、えっへんと胸を張り。
少女は2人に石を差し出す。

「みんなの分、あったのじゃ!」

ちちじゃと、ははじゃと、あねじゃと。
おっきいあにじゃと、ちっちゃいあにじゃと。
あとあと、いもじゃのなのじゃ。

家族全員の名前を嬉しそうに、少女は言葉に乗せる。
それを聞いた2人は同じような顔を見合わせた後、少女に向きなおり、微笑む。

「大事にするからな」

「ありがとう、妹者」

「どういたしましてなのじゃ!!」

次の日、母がお守り袋を用意してくれた。
大切な可愛い妹からの贈り物を、2人は大切に持ち歩いた。



そして、今日。
朝7時過ぎ。

突然の轟音に、目が覚める。



***




生まれつき、身体が丈夫ではなかった。
父に似た俺は、屈強すぎる母の遺伝子を片っ端から押し退けてしまったらしい。
それは全て片割れである双子の弟が引き継いだ。
俺はといえば、風邪をひいてはこじらせて。
転んで怪我をすれば治りが悪い。
病院にかかる日数は、周囲に比べてすこぶる多かった。

そんな子供時代。
外に出ても皆とはしゃぐことが出来ない俺は、一人ぶらんこに揺られていた。
弟は俺と違い、それはもう元気でたくましい子供だったので、走り回っては
きゃいきゃいと声を上げて笑っていた。
少し羨ましくもあったが、別に仲間はずれになっているわけではないので、
俺はそれを、いつものんびりと眺めていた。

数分おきに、弟がやってくる。
それにつられて、友達もやってくる。
他愛無い話をして笑いあって、また弟達は走っていった。
鬼ごっこをするらしい。
公園の外に出て行った彼らを見送る。
すぐに帰ってくるだろう、そう思って見送った。


声をかけられたのは、そのすぐ後だった。


知らない男。
大人。

「一人かい」

ブランコに乗った俺に、優しく微笑む。
しかしそれに反し、俺の脳は警笛を鳴らした。

目に入ったのは。
男の、右手。
後ろに隠された右手。

俺は母の他に類を見ない強さを、受け継がない代わりに。
国直属のいかつい名前の機関に属する父の、類稀なき頭脳を少しばかり、受け継いだ。

その頭が、一瞬で悟る。

「いい子だね」

まずい。
逃げなければいけない。
なのに足が動かない。

「声を上げたらいけないよ」

左手が伸びてくる。
首にかかる。

「死んで、しまうかも、しれないからね?」

右手の奥に隠されたもの。
ぎらりと、光る。

銀色のナイフ。



首に圧がかかる。
苦しい、苦しい、息が出来ない。
あ、だとか、う、だとか、意味も無い声が出る。
男の顔は至極楽しそうだった。

「ああ、いいかおだねぇ」

そこでぷつりと、意識が飛んだ。



目が覚めたのはベッドの上だった。
最初に見たのは、泣き腫らした目で俺を見下ろす、弟の顔。
霞みがかるぼんやりした思考で、ああ、助かったのか、と。
そう理解した。

(;<_;)「兄者、兄者…!!」

突然弟が俺に抱きついて泣き出した。
怖かったのは俺なのに、何でこいつが泣くんだろうか。
数回目を瞬かせた後で、ああ、そうかと結論づく。


のこして、いくところだったのか。


そう思った途端に震えた。
弟のいない場所にいくところだったのだ。
家族も誰もいない場所にいくところだったのだ。
ようやく、俺も弟にしがみついてわんわん泣いた。


数日後、男は逮捕された。
あの日あった事を、弟はあまり語ろうとしない。



だがそれから、弟は俺の傍から離れなくなった。
俺が学校以外で外に出るといえば、とにかく付いてくる。
習っている少林棍法の道場に行くのをやめてまで、付いてくる。

周囲から言わせれば、究極の過保護。

背が高く目立つので、稀に、ごく稀に絡まれたりするのだが。
もう相手に、ご愁傷様です、としか思えなくなるくらいに。
弟を怒らせると、恐ろしい。


それでも、そんな弟に何も言わない自分を思うと。
依存しているのはどちらなのかと、嘲笑いたくなった。


***

(;´_ゝ`)「な、何だよ今の音…」

下の階から鳴り響いた、ドン、という地響き。
まるで地震でも起きたかのようなそれに兄者は慌てた。

あまりよろしくない朝の目覚めのまま、惰性で制服に着替えていた手が一瞬止まる。
そして慌ててシャツの上からセーターを着ると、部屋を飛び出し階段を駆け下りた。

そこで見たのは。
下った所にすぐにある玄関で、母者が人を殴り飛ばしている姿だった。

(;´_ゝ`)「は、母者あぁぁあ!!!」

朝っぱらから一体何をしているんだこの人。
自分や弟者ならいざ知らず、まさか他人様をサンドバックにするなんて。

 @@@
@#_、_@ 
 (  ノ`)「おや起きたのかい、兄者」

(;´_ゝ`)「いやいやいや、悠長に言っている場合では!!」

よもや相手様は死んではおるまいか。
五分五分かと言われれば、1対9の割合で死んでいると思われた。

( ´_ゝ`)「母者がついに…前科持ちに…」

 @@@
@#_、_@ 
 (  ノ`)「バカな事言うでないよ、殴られたいのかい?
    こいつらが勝手に上がりこんできたんだよ」

( ´_ゝ`)「へ?」

こいつ、ら。
複数形なのを疑問に思い、恐る恐る兄者は玄関の先に目をやった。
母者が今しがたぶん殴った男の下と、軒先には。
10名はいるであろう人々の屍が。

( ´_ゝ`)「コナンも金田一一もびっくりだぜ…」

推理するまでも無く、犯人は目の前にいるわけだが。
呆然とする兄者の前で、母者はごきりと手を鳴らした。

 @@@
@#_、_@ 
 (  ノ`)「…まだ来るねぇ」

(;´_ゝ`)「え!?まだ!?」

サンダルを引っ掛けて外に出る母者に続き、慌てて兄者も靴を履いた。
門の所まで急ぎ早にやってくる。
と。
道路に出た兄者の右側から、腕が伸びてきた。

( ´_ゝ`)「あ?」

突然のことに反応できない兄者の頭の上を、左側から屈強な腕が通り過ぎる。
母者の腕だ。
それは兄者の右側から現れた腕を掴むと、へし折らんばかりの強さでもって握り締めた。
みしみしと言う音で、ようやく兄者が事態を理解する。

 @@@
@#_、_@ 
 (  ノ`)「さて、何の用件だい?」

母者がとてつもなく威圧感のある低い声で相手に問うた。
だが、下を向いたままの相手から応えはない。

(;´_ゝ`)(…何だ?)

頭にかかる、黒い靄。
母者がノックアウトさせた人々の上にもかかっていた。
嫌な予感がする。


( ゜ ゜)「…アァァ…アア、アアァ…!」

奇声を上げ。
その顔を兄者へと向けた。
白目をむいて、口を全開にして涎を流し、ぐらりと頭を揺らす。
兄者は、目と鼻の先にその顔を見た。

(;´_ゝ`)「ぃ…っ」

顔が引き攣る。
と同時に、いきなりもう一方の腕で肩を掴まれた。
逃げるという行為が行えない。
突然の事ばかりで身体が付いていかない。
固まる兄者の首に、そいつは思い切り噛み付く。

寸前で。

その身体が宙を舞った。
母者が、掴んでいた腕を思い切り投げ飛ばしたのだ。
兄者の目の前から、白目をした顔が一瞬でいなくなる。
向かい側の家の壁に身体を打ち付けられたその人は、ずるりと壁伝いに
落ちて、動かなくなった。

(;´_ゝ`)「…っ、は…!」

地面にへたりこんだ兄者の頭を、母者の手がぽんぽんと撫でる。
こういう時に、この母はなんと頼もしいことか。
まるで主人公が幼い頃のパパスのようだ。
立てない兄者を無理に起こそうとはせず、母者は腕組をした。

 @@@
@#_、_@ 
 (  ノ`)「しかし…どうしたもんかねぇ」

うちはまあ、平気だけれど。
溜息混じりに首を鳴らした母者に、はたりと気づいて兄者が問う。

(;´_ゝ`)「母者…皆は?」

 @@@
@#_、_@ 
 (  ノ`)「弟者以外はリビングだよ」

弟者、以外。
兄者の目が見開かれる。

 @@@
@#_、_@ 
 (  ノ`)「弟者なら学校に行ったよ。棍の練習するんだって言ってね」

(;゜_ゝ゜)「んな」

弟者は少林寺にある部派の中で、棍を操る武芸を嗜んでいる。
荒巻という名の知れた師を持ち、学校が終わり家に兄者と帰宅した後、
その道場に通っているのだが。
たまに、剣道部の道場を間借りさせてもらって朝練をしているのだ。

そのたまにが、まさか今日でなくても。

(;´_ゝ`)「何で、こんな日に限って!!」

先程母者が投げた相手を含め、すでに10人以上がこんな状態だ。
つまり、街にはまだこんな人々がいるかもしれない。
だとすれば。

襲われるかもしれない。

そう考え付いた瞬間、駆け出した。

 @@@
@# _、_@ 
 (;  ノ`)「あ、こら!待ちな兄者!!」

あんたが行った所でどうにもならない。
そう叫ぶ母者の声は、兄者には届かなかった。
角を曲がって行ってしまった兄者の背中を見送り、母者は深い溜息を付く。

 @@@
@#_、_@ 
 (  ノ`)「…バカ息子が」

後ろから伸びる真っ黒な腕を身体を横にずらし避け。
同じく真っ黒に染まったその頭を鷲掴んで、母者は力任せに地面へ叩き付けた。
地面が抉れ、黒のそれは、びくりと一度痙攣を起こしてから動かなくなる。

 @@@
@#_、_@ 
 (  ノ`)「やれやれ、息子の心配すらさせてくれないのかい。無粋だねぇ」

振り返る。
玄関の前に、黒が列をなしていた。

(:::::)「ギギギィ、ギィ、ギィイ…!」(:::::)

 @@@
@#_、_@ 
 (  ノ`)「五月蝿いんだよ、近所迷惑考えな」


ごきりと、母者の手が鳴った。


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