( ・∀・)「…ミセ、ショボ。後はよろしく」
ミセ*゚ー゚)リ「はいはいっと!モラの頼みなら!」
(´・ω・`)「りょーかい」
ブーンに生徒会長と呼ばれた青年は、崩れ落ちていく巨大な黒い靄から、床へと降りた。
ストンという軽快な音と共に彼が足を付けた背後で、黒いそれは床に叩きつけられる。
ミセ、と呼ばれた少女が持っていたトンファーで巨体を殴りつけ。
その脇をショボ、と呼ばれた青年がライフルで打ち抜いていくと、黒い靄はみしみしと
床にめり込み、亀裂を作った。
(,,゚Д゚) 「…モララー!!」
(;^ω^)「生徒会長…!」
ξ;゚⊿゚)ξ「後ろにいるのって…」
(;'A`)「ミセリ先輩とショボン先輩か!」
振動は続く。
足元の揺れが激しくなり、床が巨体を中心にぼろりと崩れた。
( ・∀・)「ふぅん?ギコじゃないか。生きていたんだね。
それと内藤ホライゾン、津出ツン、鬱田ドクオか」
モララーは4人を一瞥して口の端を上げる。
この揺れの中で、それを意にも返さず立っていた。
右脇に構えていたスピアを手に取ると、かつりと先端を床に押し付ける。
モララーの身長ほどもあろうか、それはブーン達と同じ、青い炎を纏っていた。
足元の床が抜ける。
丁度モララーの足元まで亀裂が走り、そこから一気に底が抜け落ちた。
(#,,゚Д゚) 「しぃ!!」
巨体の後ろで隠れて見えなくなったしぃを、ギコが呼ぶ。
流石兄弟の二人も一緒なはずだが、返答はない。
靄の全てが2階へと落ちていく。
モララーの背後に見えた風景に、しぃも、流石兄弟の二人の姿もなかった。
(#,,゚Д゚) 「くそ…っ!」
(;^ω^)「しぃ先輩、兄者、弟者!」
職員室の床を見ると、モララーの立つ場所から後ろ側はすべて崩れ落ちている。
室内の半分程度が根こそぎ無くなっていた。
揺れが若干小さくなったのを確認して、ギコが駆ける。
だが。
( ・∀・)「通せないねえ」
ギコの行く手を塞いだのは、モララーのスピアだ。
ギコの首元に狙いを定め、鋭利な切っ先がまっすぐにこちらへ伸びた。
(#,,゚Д゚) 「モララー、貴様…っ!?」
(;^ω^)「せ、生徒会長!何するんですかお!?」
( ・∀・)「君達は僕らが相手をしよう」
(;'A`)「な…」
ξ;゚⊿゚)ξ「どういうこと!?」
(#,,゚Д゚)「ちっ…貴様など構ってられん!そこを退け!!」
ギコの巨大な刀が右から薙いだ。
その様子を見て、モララーが不敵に笑う。
ギコが繰り出した刃は、モララーが持つスピアに触れると、すっとその側面を撫でて上に弾かれた。
当たった瞬間にスピアーの持ち手を引き、上の部分を自分の身体に引き寄せた為、力が逃げたのだ。
( ・∀・)「君はいつまで経っても甘い」
(#,,゚Д゚) 「フン!!」
笑うモララーに、ギコは容赦なく巨大な刀を振り下ろす。
金属がぶつかり合う音が響くのは、その刀がすべてスピアーに防がれているせいだ。
つと。
二人の攻防を見ていたブーンが動いた。
(;^ω^)「ツン、ドクオの傍にいるお。僕が行く」
ξ;゚⊿゚)ξ「行くって」
( ^ω^)「しぃ先輩も、兄者も弟者も、きっと床が抜けたせいで下に落ちたんだお。
見てくるからここで待っててほしいお」
(;'A`)「お、おい、ブーン!」
抱きしめていたツンをドクオに任せる。
焦る二人ににっこりと笑ってから、足音を立てないように二人の脇を通ろうとした。
***
***
(;^ω^)「生徒会長の…望み?」
川 ゚ -゚)「会長が言うなら、我々はそれに従うまで」
それが生徒会役員。
そう短く答えた素直クールは、持っていた刀をブーンに向かい構えた。
両手で柄を持ち佇む姿は、凛とし、美しい。
青い炎が揺らめき、その整った顔を照らす。
ブーンは下唇を噛んだ。
(;^ω^)「何で会長は、僕らを敵視するんだお!?」
折角無事な人を見つけたというのに、何故戦い合わなければいけないのだろう。
共にこの状況を打破する術を探せないものか。
そう意図を込めて叫べば、クールは無表情のまま口を開く。
川 ゚ -゚)「愚問だな」
刀の柄が、がちりと音を立てた。
川 ゚ -゚)「貴様らが、あの化け物を作り出したのではないか。
そう考えているからだ」
(;^ω^)「…な」
口をぱかりと開けたまま、ブーンが固まった。
あの化け物を。
僕らが作り出した。
そう、彼女は言った。
クールが地面を蹴る。
腕を上げて振りかぶり、その刀をブーンの頭めがけて振り下ろした。
(;^ω^)「ちょっと、待ってほしいお!」
右側に飛び退きその一撃を交わす。
すると持ち手を左手だけに変えて、クールはブーンを追撃するように刀を横に薙いだ。
四つん這いになるような体勢でそれも避ける。
勢いの付いてしまった刀身を無理矢理右手を柄に添えることで止めると、今度は逆に
袈裟懸けのように斜めに刃を下ろす。
(;゚ω゚)「ひょえっ!」
ξ;゚⊿゚)ξ「ブーン!!」
青い炎が目前に見える。
重力に逆らい思い切り反らした上半身、その身体のわずか数cm前を、刃が通過していった。
慌てて後ろに数回転がって距離をとる。
後ろでツンの叫び声が響くのと同時に、冷や汗が背中を流れた。
(;'A`)「お、俺はどっちを応援すりゃ…」
ξ#゚⊿゚)ξ「フン!」
.:。(゚A゚))「ゲパベ!!」
後ろから、恋人と親友の漫才が聞こえる。
ドクオは後で拳骨を食らわすとして。
(;^ω^)「マジで待つお!話を聞いてほし…」
川 ゚ -゚)「せぇっ!」
Σ(;゚ω゚)「ぎゃー!?」
一瞬で距離を詰められ、今度は突き。
伸ばされた刃の切っ先がブーンの顔面の右横を通過した。
頬に一筋の赤い糸が引かれる。
(;^ω^)「せ、先端こええ!!」
目の前まで迫った刀の切っ先は恐怖心を生む。
特にその帰来はなかったが、このままでは先端恐怖症を起こしそうだ。
裁縫の時に針に糸を通せなくなる。
裁縫など普段しないけれど。
川 ゚ -゚)「身体の割りにすばしっこいな」
(;゚ω゚)「誰がデブだお!余計なお世話なんだお!?」
やはり眉一つ動かさないクールに、ノリでツッこむ。
(;^ω^)(すばしっこいのはどっちだってんだお!)
あわやの所で刃を避けながら、ブーンは奥歯を噛んだ。
距離を取ってもすぐに埋められる。
食らい付いてくるのだ。
ドクオが剣道も出来る、とクールを評価していたが、これは相当腕が立つ。
(;^ω^)(つーか、やっぱ難しいんだお)
ブーンは拳でクールは刀。
得物のリーチが全く違う。
それを分かっている上でのこの距離感なのだろう。
突き出した拳では、クールの突きには敵わない。
一突きされて終了だ。
(;^ω^)(それに)
川 ゚ -゚)「考え事とは余裕じゃないか、内藤」
Σ(;゚ω゚)「うおっ!!」
考えている間に、距離感が若干狂っていた。
相手の攻撃範囲内に自分が立っている事に気付き、慌てて飛び退こうと足に力を入れるが、遅い。
右腕に切っ先が触れる。
びりと、服の破れる音がして、そこから若干の出血。
しかし。
(;^ω^)(浅い!)
ブーンは冷や汗を出すと同時に、口角を上げた。
(#^ω^)「こなくそ!!」
川 ゚ -゚)「!」
クールが引く前に、ブーンの両手が刃を思い切り掴んだ。
普通のグローブでは切れているだろうが、この青い炎を纏うグローブなら。
そう期待を込めて両手に力を込める。
思ったとおり、ブーンの両手に切れる痛みは無かった。
(;^ω^)「これで話ができるお」
川 ゚ -゚)「…」
( ^ω^)「僕らは、あの化け物なんか作ってないお」
巻き込まれただけだ。
何にかは分からない、けれど、それ以外に言いようが無い。
何よりも大切なツンや、親友のドクオが襲われ。
尊敬するクックル主将は化け物と変わり。
町はぐしゃぐしゃになった。
ツンもドクオも潔白だ、命を賭けてもいい、そんな事絶対にしない。
兄者は頭こそ切れるが、人当たりのいい優しい性格だ。
弟者が兄者を害するモノを作るはずは無い。
剣道、人の道、それを極めようとするギコがこんな事するとは思えない。
それに感銘を受けて共にいるしぃも同様だ。
こんな酷い事を考える人は、周囲で残る人の中にはいないと心から信じている。
川 ゚ -゚)「貴様らではないという、証拠はない」
( ^ω^)「確かにないお。でも、絶対に僕らはやってないんだお」
川 ゚ -゚)「証拠もないのに絶対か。笑わせる」
( ^ω^)「証拠なんかいらないお、そんなの無くたって分かる。
僕の知る皆は、絶対、絶対に、こんな馬鹿な事しないお」
切れ長のクールの目が、ブーンを見る。
その黒曜石のような漆黒の中には、大真面目にそう語るブーンが映りこんだ。
川 ‐_‐)「…本当に、貴様は甘い」
今まで表情を全く変えなかったクールが、目を伏せる。
( ^ω^)「甘くて結構なんだお」
証拠のあるなしで、人の心根まで判断する人間にはなりたくない。
そうブーンは思う。
クールが目を開けた。
川 ゚ -゚)「女だからと、手加減もしたな?」
(;^ω^)「おぉん」
先程、思考を巡らせた時のことを思い出す。
確かに戸惑った。
先程のように化け物になっていたなら踏ん切りもつくかもしれないが、
いくらこちらに敵意を振りかざし襲ってきたとしても、やはり女性に手を上げることは憚られた。
川 ゚ -゚)「そんな事では、死ぬぞ貴様」
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