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( ^ω^)個人的まとめのようです

自分のブーン系まとめ
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( ^ω^)思いの向こう側のようです 7

***


昔から、双子の兄は賢かった。
国語でも算数でも理科でも社会でも、どんな教科でも勝った事がない。
俺はもちろん、学校内の誰も勝てなかった。
なんとか科学賞を受けた聡明な父の遺伝子を、家族の中で人一倍
濃く受け継いだのが兄だ。

けれど、体育だけは学校内の誰よりも劣っていた。
いや、劣っていた、というと語弊がある。
身体があまり丈夫ではなく、動きたくても動けなかっただけ。
その代わり、双子の弟である俺は、誰よりも運動が出来た。
そしてとても頑丈にたくましく育った。
格闘技を極め、各界で最強の名をほしいままにした母の遺伝子は、
俺にだけやってきたらしい。

俺と兄は、とても両極端な双子だ。
だが、ただそれだけ。
普通に普通の家族なだけだ。


あの日までは。
ただの家族だったのだ。




小学生の頃。
忘れもしない、3年の夏だった。
兄を連れて近くの公園に行った。
そこで合流した近所の友人と、鬼ごっこをしようという事になった。
兄はすぐに喘息のように息を上げてしまうので、ぶらんこに乗って待っていて。
俺や友人達は皆で公園を出て行った。
数分後に鬼の友人に見つかり、ぎゃあぎゃあ言いながらも振り切って公園に
戻って来た時。

俺が見たのは。
ぶらんこの傍の大人の男。
季節はずれの黒のコート。
右手に持った銀色のナイフ。

そして。
首をしめられ、動かない、兄。
だらりと垂れた、兄の腕。

男の。
笑い声と。

揺れる。
ブランコ。

うごかない。

あにじゃ。



どこかがぷつりと途切れた。





気付いた時には、目の前に兄が倒れていた。
膝をがくりと地面に付いて、震える手で兄を揺する。

兄者。
兄者。
おきろよ。
なあ。

数回。

兄者。
あにじゃ、あにじゃ。

繰り返して。

兄が、けほ、と、咳をした。
それから息を懸命に吸うように、げほげほと兄は咽た。

生きてる。
生きてた。
兄者が生きてる。

言いようの無い安堵は目から水となって零れた。
それを無意識に拭おうとして、ふと気付く。

自分の手には、赤黒い血がこびりついていた。
自分の血ではなかった。
兄の血でもなかった。
誰の血なのかはその時、全然分からなかった。




あの日の喪失感は何と表現すればいいのだろうか。
再度味わえと言うのなら、俺は自分自身の死と交換してでも否と答える。
誰にも分かるまい、こんなどす黒い感情は。
周囲からは過保護だ何だと口うるさく言われるが、知った事か。

兄は呆れたように溜息をつく。
それでも、そんな俺に何も言わない兄を見ながら。
どうすればこの人がいなくならないのかを、いつまでも俺は必死に探している。




あの夏の日から数日後。

兄を殺しかけた男が捕まった。
腹部を刺され病院に担ぎ込まれていたという。
ただ、誰にやられたのかと言う問いには、怯え震え、一切応えなかったそうだ。




*****



(;´_ゝ`)「は、っ…!はぁ…っ!」

息を切らして必死に走る。
学校を目指していたはずが、兄者はかなりの遠回りを強いられていた。

(;´_ゝ`)「くっそ…こんな、沢山いるとか…!聞いてない!」

出くわす人、皆頭に黒い靄を乗せている。
口を開けて奇声を発しながら追いかけてくる。
これはバイオハザードか何かか。
そういえば6が出たんだっけ、まだ買ってない。
レオンとクリスが会うんだよな、ってか映画のバイオも見てないんだけど。
案外配役いいんだよな映画版、でもウェスカーはもうちょっとむきむきでいい。
でも俺はホラーなら零シリーズ推しだ。
主人公かわいいし。
オチで号泣するし。
何であんな可愛い子残して優雨さん死んでしまったん。

支離滅裂に思考を飛ばしながら、兄者はとにかく走る。
そうでもしないとやっていられない。
こんなに走ったのは生まれて初めてではないだろうか。

(;´_ゝ`)「…は…、ぜ…ぇ…」

よろよろと電柱に手をついて、兄者は呼吸を整えようと躍起になった。
息が辛い、足がだるい、汗が滝のように流れてくる。
前かがみになって地面を見ると、顎から垂れた汗がアスファルトに吸収され
黒く染みを残していた。

(;´_ゝ`)「…行かにゃ…」

目線を上げる。
次の角を右に曲がれば、もうすぐ学校だ。

(;´_ゝ`)「…大丈夫、だよ、な…」

朝練で学校に先に行った弟者。
街の惨状を見る限り、学校だってこうなっているかもしれない。
自分が行った所で何の役にも立たないかもしれないが、とにかく無事を確認したかった。

重い足を一度小さく叩き渇をいれ、兄者は歩き出した。


けれども。


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