(*´_ゝ`)「あー!さっむい!」
そうだな、寒いな。
(*´_ゝ`)「すっげえ寒い!」
寒いのに嬉しそうじゃないか。
そんなに風邪引きたいのか。
(*´_ゝ`)「そうじゃないけどさ、いいじゃん。
ずっとおんなじ気温より、ずっといいじゃん」
そういうもんかね。
(*´_ゝ`)「そういうもんだよ」
俺は寒いのより、暖かいほうが好きだけどな。
(*´_ゝ`)「暖かいのは暖かいので好きだぞ、と」
兄者、腕を振り回すな、危ないから。
(*´_ゝ`)「うおおお!息白い!!楽しい!!」
そりゃ寒いからな。
( ´_ゝ`)「知ってるかー?南極とかだと白くならないんだぞ?」
空気中のごみがないからな。
( ´_ゝ`)「ち、知ってたか」
兄者、あまり柵から身を乗り出すな、危ないぞ。
(*´_ゝ`)「落ちそう!!すげえ!!たまひゅん!!」
やめろマジで。
(*´_ゝ`)「弟者、見ろ見ろ、人がごみのようだ!!」
たかだか5階建ての建物じゃ、別にそんなこともないだろうが。
( ´_ゝ`)「いいの、俺には高いの!」
ずっと2階だったもんな。
(*´_ゝ`)「夢は地上1万メートルです!!」
飛行機か。
(*´_ゝ`)「飛行機!そう飛行機!!夢だね!!」
今度乗ろうな。
(*´_ゝ`)「おう、乗りたいな!」
そうだな。
(*´_ゝ`)「いーってみたいなーよそのくにー」
兄者。
( ´_ゝ`)「うん?」
兄者、戻ろう。
( ´_ゝ`)「なあ弟者」
寒いから、戻ろう。
( ´_ゝ`)「弟者」
ああ、笑うな。
笑わないでくれ。
そんな、最後みたいに。
「連れ出してくれて、ありがとな」
***
兄の世界は、2階の病室。
白いベッド、隔たれるカーテン。
そこだけ。
そこだけだった。
空を夢見た兄が、その小さな小さな世界から旅立ったのは。
兄が病室を抜け出した、3日後のことだった。
***
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